合同会社Keychain
株式会社ジェーシービー
2021年11月29日
株式会社ジェーシービー(以下:JCB)とブロックチェーン技術のリーディングカンパニーである合同会社Keychain(以下:Keychain)は、NFC(Near Field Communications、近距離無線通信)を活用したオフライン決済ソリューションのシステム実装ならびに稼働検証を行う実証実験に成功したことをお知らせします。
■背景・目的
5G普及やモノのインターネットであるInternet of Things(IoT)技術の進展により、今後モノとモノがヒトを介さず自動的に契約執行や決済をおこなうMachine to Machine(M2M)の世界が到来することが予見されています。
そのような未来では、ヒトの意志表示による契約行為や商行為ではなく、モノとモノが事前に決められたルールに従って契約行為・商行為をブロックチェーンやスマートコントラクトを用いて自動執行するようになると言われています。ユースケースとしては、自動運転車が道路やインフラと自動的に取引を行ったり、ドローンが自動配送や自動給電により自律的に動きまわるといった社会インフラのあり方がイメージされています。
しかし、現時点では、現実化するうえでの課題面が語られることは多くありません。そこでJCBとKeychainは、M2M領域におけるマイクロペイメント向け決済インフラに着目し、両者共同でソリューションの開発と実証実験を行ってまいりました。
■概要
JCBとKeychainは、次世代の決済システムソリューションを開発しており、今回は、NFCを活用した新たなシステムの実証実験を実施し、店頭での非接触型決済と同様のユーザビリティを実現することが出来ました。
本システムは、外部の決済処理センターとの通信を必要とせず、デバイス間の相互認証処理やデバイスに近接した上位レイヤーのデバイス(ルーターやサーバーなど)での承認処理により決済を実現する、近未来を見据えた新たな決済システムです。
オフラインであることから高速処理が可能となるため、将来的には処理件数の増加への対応のみならず、時間的余裕のない場面(自動運転車での料金ゲートの決済等)での活用も見込まれます。
実際の利用イメージとしては、消費者がスマートフォン、クレジットカード、スマートウォッチなどを店舗決済端末にかざして利用する非接触型決済と同様のユーザビリティです。
JCBとのコラボレーション環境下において、KeychainはIoT端末、スマートフォン、スマートウォッチに新たな決済プロセスアプリを組込み、次のようなシナリオを実施しました。
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1.
オフラインの環境において、消費者ごとの一定の極度額までは決済を実施する
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2.
決済プロセスは、複数の通信手段で実施できる(例:NFCなど)
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3.
通信が復旧回復した段階でオフライン決済された取引台帳・履歴を決済会社に一括・バッチモードで情報共有する
本システムでは、Keychainが持つ技術(Keychain Coreという)と開発プラットフォーム技術をベースに各種IoT端末に32メガバイト未満のメモリ使用しかおこなわない小さなアプリケーションを組込み、近距離通信(NFC)規格を利用してIoT端末同士の通信を行いました。

オフライン決済 コンセプト

オフライン決済 稼働検証
■本実装に利用しているKeychain Coreについて
Keychain Coreは、多数の表彰を受けているアプリケーション開発フレームワークです。ブロックチェーン技術や分散台帳技術を一般的な開発チームでも実装できるような環境を提供し、自己主権的デジタルアイデンティティ、データセキュリティ、さまざまな端末や通信環境における合意コンセンサス・取引を実装できるようにします。
■合同会社Keychainについて
デジタルトランスフォーメーションを進めていくためには、いくつかの技術的課題の解決が必要です。
例:データセキュリティ、キーマネジメント、自己主権型アイデンティティなど。
Keychainは、これら技術的課題解決のための開発環境を、開発者、開発チームに提供し、データの信頼性向上、デジタル資産取引インフラや、新たなビジネスモデル開発を支援します。世界中で利用でき、さまざまな端末に対応します。